大腸内視鏡検査を受けられる方へ

検査前のお食事

大腸内視鏡検査を、”痛くない、苦しくない、検査”にするために、検査前の食事をこれまでの低残渣食から、食物繊維とヨーグルト食に変えて、下剤の量を減らす工夫を行っております。これまでの便を減らして下剤で無理やり出す方法から、便を増やしてスルッと出す方法に変換したのです。食事をかえて頂くかわりに、検査前夜に下剤を飲んで頂く必要を無くしました（いつも飲まれている下剤はいつも通りにしてください）。前夜に飲み慣れない下剤を服用すると腹痛で眠れなかったり、来院途中にもよおしてしまったりしてしまいます。そんな辛い思いはしなくて済みます。具体的には以下のように食事をかえて楽に腸をスッキリさせましょう。

前夜一食かえ

便通が良い方は前日の夕食だけかえてください

前日一日三食かえ

少し便秘の傾向がある方は前日は三食ともかえてください

数日一食+前日一日かえ

食物繊維たっぷりのお腹すっきりミックス食とは

食物繊維とは、食べ物に含まれるただの繊維ではありません。実は食べ物であって、人の消化酵素で消化することのできない物なのです。スルメや牛すじは繊維状ではありますが食物繊維ではありません。食物繊維は小腸で消化・吸収されませんので、そのまま大腸まで到達し、多くは便として排泄されます。しかし、一部は大腸の中で腸内細菌に利用され、これらの菌を増やし、増えた菌が我々のエネルギーになる短鎖脂肪酸（酪酸、酢酸、プロピオン酸）を作り出させます。 食物繊維には水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の２種類があります。不溶性食物繊維は、ボソボソとした食感を持つのが特徴で豆類や穀類の皮の部分に多く含まれています。不溶性食物繊維は水分を含むと膨張するため、便の量を増加させるとともに、腸の働きを活発にして排便を促す効果も持っています。一方、水溶性食物繊維は、ドロドロとしていて粘り気があるのが特徴で、ネバネバした、海藻、野菜や果物に多く含まれており、水溶性食物繊維は腸内細菌菌のエサとなとなり、元気になった細菌が作った短鎖脂肪酸によって、腸内はを弱酸性の環境とし、腸の動き（ぜん動）と血流を促進し、腸の粘膜のエネルギー源ともなり活発に働けるようになります。我々の毎日の食事としてはこれらの食物繊維を含む食物を積極的に摂取したいのですが、検査の前にこれらを食べると、一部が大腸に残ってしまい検査に支障が生じてしまいます。しかし、食物繊維の大腸を元気にして排便を促進する作用は下剤を減らし楽に検査を受けるために役立てたいので、以下のような食事をして頂きます。

食物繊維（不溶性）たっぷりのフレーク状のシリアル
（ドライフルーツやナッツ等が含まれていないもの)

水溶性の食物繊維の補給は大腸の検査前食として
お勧めのサプリメントです

便通改善効果があるとされるヨーグルト（お薦め）

牛乳や普通のヨーグルトが苦手な方、
カロリーが気になる方は豆乳ヨーグルト

いつものバナナでおいしく食べられます

検査前食として、便をスルッと無理なく出すために、食物繊維と発酵食品の摂取をお勧めしておりますが。消化できない食物繊維や発酵食品はそのままの形で大腸に留まりやすい特徴もあり、完全に出きらなかった際には大腸の検査中に邪魔になってしまいます。そこで、大腸にたどり着くまでに粉状になってしまうオールブランを主に摂取して頂いているのです。しかし、ぼそぼそとした食感だだけでは食べ難く一日三食は辛いと言われる方も少なくありません。そこでバナナです。日本人の日々の食生活において欠かせない存在であり、もはや国民食ともいえるバナナ、何所でも手に入ります。日本人が最も食べているバナナには食物繊維も豊富に含まれています（バナナ100ｇ中に不溶性食物繊維1g、水溶性の食物繊維0.1g）。しかもバナナは大腸にたどり着くまでには形を残さず泥状になっており検査の妨げになりにくいのです。

いつものきなこでおいしく食べられます

きな粉は、大豆を炒って皮をむき、挽いた粉です。加熱してあるので大豆特有の臭みが抜け、香ばしい香りになっています。分量 100 g あたり水溶性食物繊維 1.9 g、不溶性食物繊維 15 gが含まれており、腸内環境を整え、便秘解消や整腸作用が期待できます。プロゴルファーのジャンボ尾崎さんが牛乳にきな粉をたっぷり加えてぐるぐるかき混ぜて飲んでいたのが懐かしいです。

わさびは凄いんです

緑の根菜である”わさび”には、水溶性食物繊維0.8gと不溶性食物繊維3.6gが含まれています。もちろん”わさび”を大量に食べられる方は珍しく、刺身1人分では3g、寿司10貫でも2g程度しか摂取できません。しかしわさびにはその他に、アリルイソチオシアネートによる殺菌・抗菌作用、一般的に使用されるわさびの根だけでなく、花や茎にも抗酸化作用があり、抗酸化作用で体内で作られた活性酵素を除去し動脈硬化や老化の予防に効果的です。わさびに多く含まれるイソチオシアネート類は、血小板の凝集作用を抑制して血液をサラサラにする効果を持つと考えられています。また、わさびの根茎に含まれる成分の6-MSITC（6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート）ががんの治療に効果があるのではないかと期待されています。

ジュースで美味しい食物繊維

生のすももを「プラム」、乾燥したものを「プルーン」と呼ばれることをご存じですか？すももは世界中に300種以上もあるそうで、すもも・プラム・プルーンは、どれも同じ「すもも」ですが、原産地により呼び名がわかれているようです。プルーンには100ｇ当たり水溶性食物繊維 0.9 g、不溶性食物繊維 1 gが含まれており、保水力に優れたソルビトールもたっぷり含んでいるので、便の水分量を増やし、便をやわらかくして便通を良くする働きがあります。 プルーンは、豊富な食物繊維とソルビトールの相乗効果で、優れた整腸作用や便秘解消効果を発揮します。

お勧めの食物繊維たっぷりミックス